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史跡西沼田遺跡保存整備
所在地 山形県天童市 業務内容 計画・設計・工事監理 年度 2001〜2007
低湿地に展開する稲作を主体とする6世紀の農村集落

ムラ全景
史跡西沼田遺跡は山形県天童市にある古墳時代の集落遺跡です。 天童市では、古墳時代の農村集落の様子を実感し体験できる場とするため、建物復元の他、かわや水田などの一連の営みを物語る整備を行いました。私たちは、この事業に計画、設計、監理として携わることが出来ました。

主屋
この遺跡では、打込柱という杭のような柱で建物を建てていました。この地域の低湿地に見られる特殊な工法です。 発掘調査で発見されたおびただしい数の打込柱跡から、ある時期の建物配置を求めて復元しています。 主屋は、この中で最も規模の大きいもので、ムラの長の暮す家と考えました。 構造は、平面形や柱配置の類似性などから、アイヌの伝統家屋を参考に復元しました。 屋根は寄棟・茅段葺、壁は茅壁としています。

主屋屋内
屋内には、発掘調査の状況から、角材を敷き並べたような床を復元したほか、アンギンを敷いた床や囲炉裏などを整備しました。

主屋屋内
地元の人たちが茅の維持のために囲炉裏で火を焚いていて、古い農家のような風情になってきました。

副屋


作業小屋
この辺りからは木製未成品(作りかけの木器)が多量に発見されたことから、木工を行う作業小屋と考えました。また、小型で柱が狭い間隔で立ち並ぶことから、丸太を並べたような壁に復元しました。屋根は半割丸太を並べた上に樹皮を敷いてあります。

この範囲には、丸太をびっしり並べたような柵がありました。建物群は柵で囲まれたと考えられますが、この構造の柵は復元した範囲だけだったようです。ほかはもっと簡便な柵だったのでしょうか。

かわ
古墳時代、この辺りは低湿地で、“かわ”が蛇行していました。“かわ”は稲作や生活に深くかかわっていたものです。整備では、地形復元とともに“かわ”をつくり、近くの用水から水を引きました。

井堰
井堰は、必要なときに“かわ”の水位を上げ、田圃に水を引き込むための仕掛けです。発掘調査に基づいて整備しています。

水田
この遺跡からは水田の畦畔が発見されました。きっと広い範囲に水田が営まれた古代の穀倉地帯だったのでしょう。整備では、赤米など伝統的な米作りを通して暮らしのあり方を考える場となることを目指して、水田と畠をつくっています。

ガイダンス施設・収蔵庫
遺跡の隣接地にガイダンス施設を建設しています。建物は、古代の構造をイメージさせる外観を意図しました。屋内には体験学習室、展示室、管理室等があります。また、その奥に収蔵庫を併設しています。 現在は、地元主体の管理団体が運営し、整備した遺跡内とともに様々な活用が行われています。

展示室内部
        
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