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特別遺跡原の辻遺跡保存整備
所在地 長崎県壱岐市 業務内容 計画・設計・監理 年度 2002年〜
異国性を窺わせる弥生時代建物の復元

原の辻遺跡遠景
原の辻遺跡(はるのつじいせき)は弥生時代の大規模環濠集落跡で、長崎県壱岐市にあります。中国の史書「魏志倭人伝」によると、弥生時代の日本にはいくつかのクニがあったとされており、ここはその内のひとつ、「一支国(いきこく)」の都として特定されています。
壱岐市では、原の辻遺跡を核とした地域の歴史伝承、学習、観光の拠点として、整備事業を進めており、私たちは計画、設計、工事監理の立場として関わることが出来ました。

中心部分の復元状況

茅逆葺施工中
建物の復元では、地域的特性から韓半島との交流関係に着目し、韓国の伝統民家に見られる茅逆葺(かやさかぶき)の技術を取り入れています。これは茅の穂先を下にして屋根を葺くもので、日本の各地でも古くは行われていたようです。茅逆葺の復元建物が並ぶ様子は独特の雰囲気があります。この遺跡の異国性を多少とも表現出来たのではないかと思っています。

復元工事に使った道具
遺跡からは多くの建築部材が発見されています。柱材や大引材、梯子、扉などです。復元では、これらの部材から判る構造を取入れる他、遺物木材の表面に残る痕跡から弥生時代に使われた工具を想定し、チョウナ等の伝統工具を作って用いています。

扉板 槍鉋仕上げ
扉の板は大きい木材から取っ手を作り出しています。これは発見された部材の形と同じです。仕上げも伝統工具・槍鉋(やりがんな)で仕上げました。
このように、建物復元では、木材、構造、工法まで、壱岐市や整備委員の指導の下に、ひとつの「解」が見出せたような気がしています。

主祭殿

大型竪穴住居
原の辻遺跡の整備では建物復元の他、生活復元、環境復元、管理運営という専門部会を設けて、学際的な検討の基に事業が進められています。
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